ちょっと前、夜道を歩いていたら、
何やら見かけない虫が
ゆっくり歩いているのが見えました。
「カナブンにしては細いし、
カブト虫のメスにしては小さいし、何だろう?」
と思って、近くでよく見たら、
孵化する前のセミでした。
セミの抜け殻は、見慣れているけれど、
中身が入っていて、
しかも動いているのを見たのは初めて。
その姿は、外灯の下で見たせいもあって
ものすごく恐ろしいものに感じました。
そして最悪なことに、少し離れたところに、
同じ状態のセミが何かに踏まれて
真っ平になっていたのでした。
逆の方向に向かえば、すぐ街路樹にたどり着けるのに、
ゆっくり反対に向かって歩いているから、
また踏まれそう。
木の棒か何かを拾って、誘うことも考えたけど、
夜道で拾う棒にも、何かの虫がついていたら余計怖いし、
孵化前の柔らかそうな体を傷つけても悪いし、
何より、その姿をじっくり見なくてはならないことに
耐えられないと思って、しばらく考えた末、
「無事に孵化しますように!」と祈りながら
その場を去ることにしました。ゴメン!
それから、数日後の朝、
出窓のガラスにコンコン体当たりしながら、
「ジジジ」と鳴くセミに起されました。
でも、セミの裏側を見るのが怖くて、
カーテンを開けずに、
早くどこかに行ってくれないかなとジッとしていました。
しばらくして、シーンとなったので
カーテンを開けてみると、
出窓のななめ下の階段の窓のふちに
アブラゼミが顔をこちらに向けて止まっていたのでした。
そして、おととい
外から帰ってきたら、家の前で一匹のアブラゼミが
力尽きて仰向けにひっくりかえっていて、ドキッとしました。
結局、裏側を見るはめになったと思いながらも、
近くの植え込みに置きに行こうと、手に持っていた
いらないDMをセミの体の下に差し込んだ時、
かすかに足の先が動きました。
あ、まだ生きているんだ、
とホッとした次の瞬間!!
DMの上で、体を上手にクルッと滑らせて体勢を整えて、
いきなり茶色い羽をバッと開いて、
私の顔めがけてまっすぐに飛んできたのでした!!
とっさに、ヘンな声を上げてしゃがんだから、
あの固そうな顔の攻撃を受けずに済んだけど、
しばらく呆然とその場に立ち尽くし、
家に入ってからもずっと、
心臓やこめかみが激しくドキドキ脈打っていたのでした。
間近で見るセミは、スズメくらい大きく見えました。
そして、このセミが全部同じセミだったら
ストーリーがつながっておもしろい!
と思いました。